missing(挨拶)
まさか今日がこんな日になるとは、微塵も想像出来なかった。
テストが終わった後、部室に行った。
女子部員Oさんがいた。
テストが難しかったこと、ドイツ語がきついこと、来年の新入生はどんな人が来るか
などなど、ごく他愛もない会話をしていた
そこに同じ部員のIさんが来た。
そして、なぜか2人がマイハウスに行こうという話になった。
自分の部屋。
いわゆるオタクの部屋・・・・・・なのだろうな
いやまてまてまてまてまてまてまてまて
自分の部屋?今何があったっけ?何か色々とまずい物、いやとても美しいもの達なのだが、が大量に鎮座なされている気がする。昨日ナベやって寝て起きてテスト勉強して色々放り出して・・・・・・・・・・・・え〜と他になにかやったっけ
・・・・・・・・・・・・まあとにかく一ついえる事は
非常にマズいということだ
いや無理無理無理!散らかっているし、何より薄い本くらいしかないから!
I「良いじゃない?大丈夫だよ」
こつぁ、悪女だ。マチガイナイ。その笑顔の向こう側に何が隠れているか分かったモンじゃない。
O「行こうよ〜」
貴様さっきまでそんなフリは何一つ無かったじゃないか!?とっとと帰れ!
全力で否定した。あの部屋は、女子様の来る部屋じゃない。
I「逃がさないよ♪」
捕まった。袖をつかまれて離さない。
O「さ、行こうか♪」
どうやら自分は押しに弱いらしい。
幸いな事にウチの場所は知られていない。はぐらかせばなんとか
I「え〜と、S君に電話♪」
S、ウチに何度か遊びに来ている部員。
野郎、あとで貴様が持ってきた鬼畜な同人誌をこの方々に披露してやる
遠回りしたり黙秘権を使ったり様々な抵抗を試みたが今、部屋のドアの前にいる。
今日の日ほどアパートが大学に近いことを恨んだ事はないだろう。
というかこの女子様たちはアパート全てのチャイムを押して回ろうとするそぶりさえ見せた。
流石に周辺住民の皆様に迷惑をかける訳にはいかないとコッチが折れた形だ。
そこまでしてマイ部屋が見たいか!?
なお本当にここまで袖をつかまれて一切離されなかった。
傍目からはカップルが手をつないでいるように見えたかもしれないが
こちとら黒スーツに連行される宇宙人とか、木彫りの熊の鮭のイメージなのでよろしく。
鍵を開けた瞬間、Iさんが自分をドアから引き離しOさんがマイ幻想郷へと突入していった。
まず台所。
暗い。
電気をつけた。
そこには、同人誌の山があった。
O「(驚)(笑)」
なんだ其の目はぁ!?
部屋に入った。いつもの見慣れた空間。
しかし妙にいたたまれないのはなぜだろう。
でもまあ、ここまできたらもうどうしようもない。
ところどころ美しい方々の絵がこんにちはしているが、本の多いだけの部屋だ。そう卑屈になることもあるまい。ここは堂々として
I「何コレ〜?」
コタツの上にあった1冊の同人誌
おもむろに中を見だすI
ええと、自分の記憶が正しければそれは・・・・・・・・・・・エロ同人と言われるものではなかっただろうか。
無言+笑顔でその同人誌を置き、その上に傍らにあった授業プリントをのせた事なんてもうどうでもいい。
もう怖いものなんて何もない。
嬉々としてあちこちを携帯で撮り始めるおふた方。
ふふふ・・・・・・何がそんなに楽しいんだいお嬢さん?
おもむろにその辺の本や同人誌を見始めるおふた方。
「この絵可愛いね!」
ありがとう
「ねえねえ、この作品のどんな所が良いの?」
小娘に言ったところで理解できぬわ
「オススメの本は?」
北斗の拳でも読んでろ!
どの位ウチの部屋にいたのだろうか。時間の感覚は無かった。
どうやら二人はマイルームの噂を周りから聞いていて興味を持ったらしい。
どんな噂だか想像もしたくない(いや楽に想像できている)
あれだ。最近の女子が強くなっているというのは本当だな。
こっちの気持ちとしては初めて異性に裸を見せる女の子のそれだ。
そんなにジロジロ見ないで!と言いたかった。完全に逆転しているな。
しかしなんだろうかこの開放感は。もう怖いものはない。悟りを開いた釈迦に少しは近付いたのだろうか。開き直りという単語は知らなかった事にしておこう。
そんなこんなでどろり濃厚な今日を過ごしたわけだが明日からの部活ライフが楽しみでならない。きっと今までとは違った日々を送れることだろう。
どうか、我が大学生活に幸あらんことを。
(ウチの部屋の写真、どうする気なんだろね・・・・・・・・・?)