水(挨拶)
9月22日(月)
お遍路再開4日目
この時期の遍路道の彼岸花は綺麗である。
大昔から、季節ごとの景色を楽しみながら、先人たちもお遍路をしていたのだろう。
早速次の札所に向かうところだけど、道すがら大きな神社が見えたので寄り道。
石鎚神社という、西日本の最高峰石鎚神社をお祀りする神社らしい。
丁寧に掃かれた境内、綺麗な社務所に社殿、高台から見下ろす町の景色。
湧水もありました。
いい神社です。
64番前神寺
その石鎚神社のすぐ近くにあるのが64番前神寺。ここも石鎚山と関係の深いお寺であるとのこと。
ここの山門脇に彼岸花が綺麗に咲いていました。
そこで、外国人女性の自転車ツーリストを見かけたのが印象的だった。
そしてここから次のお寺までが大変。
次のお寺まで50km近く離れているし、地図をみると山の上の方にありそう。
とりあえず、ゆっくり行きましょう。
伊予西条は「うちぬき」という、石鎚山から流れる湧水が豊富にある町。
地面に杭を打つと湧水が豊富に出てきて、それを生活に使っているというすごい町。
庭先とかに湧水が出ている家なんかもあり、石鎚山の恩恵を感じるところである。
中でも嘉母神社の湧水は、利き水で日本一になったこともあるという。つまり日本一おいしい水が湧き出している神社。
ちょっと寄り道になるけれども、飲まずにはいられない。
汲みに来ている人も一杯。
冷たくて、あっさりとしてゴクゴクと飲める。自転車を漕いで漕いでカラカラの体で飲むので、さらにおいしい。
お遍路のご利益(?)である。
そこからまたひたすら自転車を漕ぐ。
次のお寺の方まで続く国道11号線は綺麗で大型のトラックなどもビュンビュン通る。
距離は稼げるけどヒヤヒヤするし、味気はない。
地図を見るとすぐ横を讃岐街道が並走している。
幹線道路を避け、そちらに入る。
するとのどかな田舎道になる。
それほど広くない道。
交通量も少なく、畑や田んぼ、家と家の中の生活を感じられる道であり、とても走りやすいし目に楽しい。
こちらが本来の遍路道であり、そこをのんびり走る。
次のお寺をもくもくと目指す。
前のお寺は朝方だったのに、すでに昼を過ぎている。
65番三角寺
ひたすら漕いで、道に迷って、さらに急な坂を上ってやっとたどり着き、さらに駐車場から長い階段を登った先にあった65番三角寺。
正直、難所と呼ばれる横峰寺より苦労した。
足もガクガクである。
ここで、朝に寄った前神寺で挨拶をした自転車ツアラーの外国人お姉さんとまた会った。
散々迷って時間がかかって着いたのに、また会うとは不思議なものである。
そして本日の目標としていた次のお寺を目指す。時間的にはギリギリである。
そしてお遍路最後の県、香川県に突入。
すぐ先にうどん屋があるのが香川県っぽい。
香川県は涅槃の道場(さとりに近い道場)とされ、終りも近い。
しかし、そんな余韻に浸る時間も殆どなく、次のお寺を目指す。中々お遍路も忙しいのである。
萩寺
途中、萩原寺というお寺で萩まつりをやっていたので、立ち寄ってみた。
ここは香川でも屈指の萩の名所らしく、それが丁度今。寄るしかない。
萩と彼岸花
境内いたるところに色んな種類の萩が咲いている。
萩をこんなにじっくり見たのは初めて、そもそも萩を意識して見たの自体初のような気がする。
お客さんも多く、出店ではお餅やお茶なんかも売っていて、こうした偶然に感謝である。
そしてこの時点ですでに5時近く。
目的のお寺はあきらめました。
ここまで必死に走ってきてなんとか間に合わせようと思ってきましたが、間に合わないものは間に合わない。
無理して進むこともない、ふと心が軽くなったのを感じました。
ここからはのんびりと自転車で走り、本日の宿に到着。
お遍路が止まる宿の中でも、とくに評判のいい青空屋さん。
ここのご主人はもともとお遍路をやり、そこでお世話になったので、今度は自分からお返しをしたいと始めたお宿だそう。
お遍路が望むのは晴れた日ということで、お宿の名前も青空屋。
農家を改装したという建物は、とても綺麗。あと犬がいっぱい。
この日の宿泊客は自分一人。
ご主人もおかみさんも親切で、ご飯もおいしく、お遍路の話などもしていただきました。
洗濯ものも取り込んでくださって部屋の前に置いてあったり。
いいお宿でした。