星(挨拶)
9月21日(日)お遍路3日目
この日はある意味後半戦の山場、遍路の難所が待っている。
58番仙遊寺の宿坊
朝5時過ぎに起床。
お寺の本堂に集まり、住職さんのお話を聞く。
仙遊寺の住職さんは、お遍路を世界遺産に登録することを目指す活動をしているらしい。
空手もやっていて、境内には空手募集のチラシがあったり、宿坊には道場らしき場所もありました。
色んなことをやれている住職さんで、笑いあり、少しホロリとしたり、考えせられたり。朝早くにお遍路衣装をきた様々な年齢の人たちが集まってお話を聞く機会など普段はないので、とてもいい経験になりました。
仙遊寺本堂
おいしいご飯を食べ、早速本堂にお参り。
納経帳に書いてくださったのは住職さんでした。
59番国分寺
昨日苦労して登った坂を軽快に下る。朝の空気は少しひんやりして、下るのは早くて楽で気持ちいい。
途中の朝からやっているパン屋に寄ったりしつつ(同じ宿にいたお遍路さんもいた)、59番国分寺に到着。
建物が新しく修繕されており、綺麗に整備された感じのお寺である。
お大師さんの像があり、その像と握手しているところを撮ってくれとお遍路さんに頼まれたのが、いい思い出。
61番香園寺
国分寺からは自転車をこぎ続け、今治市から伊予西条市へ。
60番を飛ばし、着いたのが61番香園寺。
ここは一番異色なお寺だった。
お寺というより、公演ホールみたいである。
大きは箱型の本堂で、ご本尊は外に付けられた階段を上って2階。
靴を脱いで上がると、薄暗い本堂の中にはコンサート会場のような椅子がズラーっと並んでいる。
そして、ステージのようなところにご本尊様とお大師様の像が安置されている作り。
お遍路さんたちも椅子に座ってお経を唱えたりしている。
一風変わった先進的なお寺である。
境内で売っていたアイスクリンを食べました。高知の桂浜で食べたのを思い出しました。
62番宝寿寺
62番、63番のお寺も近いので、立て続けに打つ。
お寺の狭い駐車場にバスの団体さんがいたり、あちも苦労がありそうだ。
ここまでは皆平地にあり、すいすいと進めた。
しかし、ここからが本日の本番。
うどんのチェーン店でうどんを食べてエネルギーを補充し、お遍路後半の難所60番「横峰寺」を目指す。
15km続く上り坂である。
同じ道を下りてくるので、荷物はあらかじめ宿に預かってもらい、軽くしていった。
最初は比較的ゆるやかな坂を上っていく。どうやらサイクリストにとって人気の場所らしく、何台もの自転車とすれ違う。
「こんちは!」
と声をかけるが、相手はスピードの出ている下り。シャアアっとすれ違い後ろから返事がくる。
自分を抜かしていくサイクリストのおじさんもいた。
「私は何度も登っているんだよ。カバンにお弁当を詰めて」
少しの時間を一緒に走り、おじさんは先に行った。すこし元気が出た。
ダラダラとした坂道が続き、漕いだり押したりを繰り返し登っていくと料金所がある。そこから先はお寺の管理地で、道の保全のため車やバイクは有料だけど、自転車は無料。
料金所の方と挨拶を交わしてふたたび登る。
お遍路をやっていると、坂道の途中に湧水を見つけることがよくある。
ここにもあったので、ありがたく水分補給をする。ガブガブと飲み、ペットボトルにも補充。
ほんとうにありがたい。
途中雨が降ってきたので、ポンチョを着る。
料金所を過ぎてからは勾配も急になり、ほとんど自転車を押して登る。
すれ違うお遍路に励まされつつ、「もうすぐだよ」って教えてくれた木の管理をしている人に感謝しつつ、もくもくと登る。
登り始めて3時間弱、60番横峰寺に到着。この時にはもう雨も止んだ。
着いた頃には足がガクガクで、お参り前に少し休憩。
少しの達成感を感じつつ、じっくりとお参りをする。
ここで前の仙遊寺に一緒に泊まっていたお遍路さんに「横峰寺の奥の方に行くといいよ」と教えてもらったスポットへ向かう。
それがここ、「星が森」
山門から本堂とは逆方向に登っていき、15分くらいで着く。
山の中の少し開けた場所に、大師様の像と鳥居がある。そしてその鳥居の向こうには石鎚山の山並みが拝める。
お大師様がここで星祭を行ったとか。どんなことをしたのかよく分からないけど、名前がとてもいい。
静かで、涼しい風が吹き抜けて、その光景も何か幻想的で。しばらくぼーっと眺めていました。
今回のお遍路で一番のお気に入りの場所です。
そして下山。下りは自転車の天下、むしろスピードを出しすぎないように気を付ける。
3時間近くかかった登り坂を、1時間もかからずに下りきってお宿へ。
お宿はお肉屋さんが経営しているビジネス旅館小松。晩御飯のお肉料理はボリューム満点でした。