あの女の子

お休み欲しい(挨拶)





ふとスーパーに寄ったら気になるお酒を見つけた。

それを手に持ち意気揚々とレジへと行ったら、研修中の札を付けたレジ打ちの人に見覚えがあった。


中学生の時、目を輝かせながら「声優になるんだ」って夢を語り上京していった同級生の女の子だった。
ちょっと擦れ気味のアニメ声をしてた。笑顔で接客してくれた彼女はこっちに気付かなかったようだ。
でも声はかけられなかった。


いつの間にかお酒を呑める年になり、同級生には子どもも生まれたという噂も聞くようになり、自分も姪っ子がいておじさんと呼ばれるようになった。



でも彼女はずっと、自分の中では声優を目指していた女の子だったのである。
不思議な感じがした。
いつの間に年をとったんだろうねぇ。買ったお酒は苦そうだと思った。