さようなら、またね

ありがとう(挨拶)



ウチのネコの椛さんが旅立っていきました。

もっともっと一緒にいられると思ったのに、急なお別れです。


1週間前から急にご飯を食べず、水も飲まなくなりました。
ほとんど動くこともなく、これはおかしいとお医者に行きましたが、すでに手の施しようがないくらい病気が進んでいると告げられました。

ずっと元気だったので、まさか病気だとは思いもしませんでした。


家に帰ってきた後も、息苦しそうにネコ座りをしているだけ。
毎朝毎夕、外へ遊びにに行っていたのに、部屋と軒下をちょこっとのお散歩するのが精いっぱい。


何も食べないので、色んなキャットフードを買ってきてあげてみました。
ウチの椛さんは好き嫌いが激しいのでどれも嫌がり、唯一食べたのはカツオブシ。

カツオブシを湿らせて水分を少しでも取るようにし、一枚一枚ゆっくりと食べさせました。
一回に1〜2枚しか食べませんでしたが、食べるたびにみんなで喜びました。


日に日に運動量も減っていき、息も苦しそうになっていきました。
でも布団の上から少し移動しただけでも嬉しくて。


今日は仕事で一緒にいられなかったんですが、お庭に出て散歩をしたそうです。外が好きなネコなんです。


妹もちょうど遊びに来ていて、自分も帰宅して、家族がみんな揃っていました。

仕事から帰ってきて椛さんの様子を見ると、いつもと同じ場所で同じ格好で寝ていました。
生きていてくれたと安心する一方、いつも以上に呼吸が苦しそうでした。


少し目を離したら、玄関の前に座っていました。いつの間に歩いたんだろう。
部屋へ戻り、パソコンを開いていたら母親が来て「もみちゃんの様子がおかしい」と。


急いで椛さんのもとへ行くと、コタツの下でグッタリしていました。
そして目を大きく開き、鳴き声を出すように口を開けたと思ったら、そのまま眠りました。

本当にたまたま家族が全員いて、みんなに見守られていきました。



妹が「最後に私に挨拶に来てくれた。すり寄ってきて、ゴロンと寝っ転がって甘えてきた。」とのこと。
お腹が苦しかったらしく、この1週間がネコ座り以外の体勢はとらなかったのに。

9年と4か月前、公園からウチに連れてきた妹への最後の感謝だったのかもしれません。



拾ってきたときは、自分は学生で上京していました。
友達とご飯を食べれていたら「ネコを拾ったよ」と写真付きのメールが送られてきたのを覚えています。

初めて椛さんにあった日の夜、コタツで寝ていたら隣に入ってきて一緒に寝ました。


公園に一匹だけいて、人にも慣れていたので「色が汚いから、こいつだけ捨てられたのかな」なんて言ってました。
気が強くて、叱ったりすると仕返しに足の甲を噛んできました。
障子も破られました。
パソコンをやっていると画面の前に座り邪魔をしてきました。
新聞を読んでいると、紙面の上に寝っころがって困りました。
夜に寝ようと思ったら、布団の上に丸まって布団を占領していました。
姪っ子のゆりかごの中にも寝ちゃいました。
ちょっと高いエサを暮れるまで隣にすわり、ジッとこちらの顔を見てきました。
布団を干そうとベランダを開けたら、すぐに飛んできて屋根の上で遊びました。
にゃーんとは鳴かず、にゃっにゃっと小さくつぶやくような声をしていました。
こちらが寝ているときにおねだりするときは、耳元で小さく鳴いて。
タツ布団の上がお気に入りでした。
タツの台の上に飛び乗り、そこからひざの上に乗ってきました。重いのに。
お気に入りの場所じゃないと寝ない子でした。
あまり触ると嫌そうな顔をして逃げて行きました。


プライドが高く気ままで、でも甘えてきて、頭が良くトイレも一回で覚えて、家のどこに人がいるかも分かっていて、鳥やネズミを捕まえてきて母親を困らせて、よくケンカをしてけがをして帰ってきて心配させて、手や足は噛むくせに顔には絶対にやらなくて、家に帰ってきたら玄関の前で待っていて、毛が柔らかくてさわり心地がよくて、綺麗でかわいいネコで。


いつか会いに行くことになるから、あっちで先に待ってて。
お疲れ様、よく頑張った。
少しの間お別れだけど、また会おうね。その時はまた撫でさせて。ゴロゴロって音を聞かせて。
今まで本当にありがとう。一緒に暮らせて本当に幸せでした。